上場はゴールではなく、真の意味でスタートになる。経営者を補佐する参謀であり上場請負人 株式会社TOKYOフロンティアファーム代表取締役 佐々木義孝 | 「なりたい・したい」を「できる」に変える 次世代リーダーズのための :ゆめかなう

上場はゴールではなく、真の意味でスタートになる。経営者を補佐する参謀であり上場請負人 株式会社TOKYOフロンティアファーム代表取締役 佐々木義孝

株式会社TOKYOフロンティアファーム代表取締役。1973年9月6日生まれ、北海道出身、明治大学商学部卒業。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社し、新規開拓営業に従事する。その後、経営マネジメント業務に転身し、東証一部上場企業の取締役CFO、管理本部長、経営企画室長などを務めた。2006年、2010年、2015年に事業会社の上場準備責任者として3社のIPOを果たす。現在、数社の社外役員にも就任し、経営助言を行っている。
【資格】
経済産業大臣登録 中小企業診断士/宅地建物取引士/認定上級IPOプロフェッショナル(日本IPO実務検定協会)/プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/一般社団法人日本経営協会講師
【著書】
「実戦!上場スタート」財界研究所刊 /「IPOを目指す会社のための資本政策+経営計画のポイント50」中央経済社刊 /「CFOの履歴書」(共著)中央経済社刊 /
「令和に伝える“私説”伝説のサムライJAPAN」平成出版刊

上場は「ゴール」ではなく「スタート」であることをよくよく認識してIPOを目指して頂けるようにサポートしたい

どのような事業内容を展開されていますか?

私は3度のIPOに、経営者を補佐する“参謀”のような立場で関わってきました。人からは「上場請負人」と言っていただくこともありますが(正直なところ「上場屋」みたいであまり嬉しくない面もありますが…)、私が強く思っているのは、「とりあえず上場」ではないということです。

弊社TOKYOフロンティアファームは、IPO(新規株式公開)のコンサルティング、経験の少ないCFOのサポートや、スタートアップのファイナンス支援、上場前後の資本政策、IR戦略の支援をしています。

これまでスタートアップの企業から、上場を見据えた企業、また、上場した後でIR戦略や資金調達をもう一度行いたいと思っている会社の支援も行ってきました。現在は社外取締役を1社、社外監査役を5社勤めており、顧問先は複数社になります。

また、上場後のエクイティ・ファイナンスには、いろいろな証券会社のスキームや事業会社への第三者割当など多くの方法があります。そこで私たちは、今後の資本政策を見据えて、客観的にどの形を取るのが最適か、また、投資家に対してどのように関係を築いていくべきなのか、というところまでサポートします。

強みとしては、私自身が事業会社でCFOを務めた経験があり、IPOに関しては3社携わった経験があるという点ですね。東証一部にも上場したことがありますし、上場企業でのCFO経験がありますので、上場前から上場後までの事業会社のCFOとしての知識とノウハウを持っています。

そのため、CFOとしての客観的なアドバイスや指摘だけでなく、実務者として実際に自ら手を動かしてきた経験がありますので、資料作成などの細かいサポートまで行うことができます。

また、その一方で、顧問として仕事を担うことも可能ですし、社外役員として会社のお役に立つこともできます。

大事にしてきたことは、参謀は参謀の立場として、上場する目的を社内に、時には経営者に対しても示していかなければいけないという強い使命感

お仕事をする上での信条は何ですか?

信条といいますか、大事にしてきたことは、参謀は参謀の立場として、上場する目的を社内に、時には経営者に対しても示していかなければいけないという強い使命感です。とにかく上場まで、事務的に持っていけばいいという次元で考えてはいけないのです。

やはり上場をする意義や目的をはっきりと掲げることが大事だということが改めてわかってきました。会社をさらに成長させるためなのか、会社の理念を実現するためなのか、企業によって目的が違っていいと思いますが、その目的に向かう一つのステップが上場なのだということです。

上場は「ゴール」ではなく「スタート」であることをよくよく認識してIPOを目指して頂けるようにサポートしたいと強く思い、独立したコンサルタントとして起業しました。

また、社長の考え方、オーナーの考え方は千差万別なので、自分の意見を押しつけないようには気を付けています。とにかく相手の立場に立って、客観的な判断をするという傾聴姿勢を重んじています。

もちろん、自分の考えはしっかりと伝えた上で、顧客の意見を最大限尊重して、的確なアドバイスをするように心がけています。また、まずは自ら実践することを強く意識しています。

私は信頼確立やマネジメントを早期に確立するために心掛けるべき格言は、連合艦隊総司令官山本五十六元帥のこの言葉に尽きると思っています。

「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
「苦しいこともあるだろう 言い度いこともあるだろう 不満なこともあるだろう 腹の立つこともあるだろう 泣き度いこともあるだろう これらをじっとこらえてゆくのが 男の修行である」

私自身、いつまで経ってもできているとは言えませんが、常に肝に銘じて心がけるよう努めています。

メーカーに勤めていた時代に、サラリーマンが簡単にリストラされる姿を見て、このまま営業をやっていても良いのかという疑問を抱いた

このお仕事を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

大学を卒業してメーカーに勤めていて、IR系の仕事とはまったく無関係の営業職に携わっていたのですが、2年目でちょうどバブル崩壊後の金融危機を目の当たりにして、サラリーマンが簡単にリストラされる姿を見て、このまま営業をやっていても良いのかという疑問を抱いたんですね。

これから先の社会を生き抜くためには、何か手に職を付けなければならないと思い、大学時代に諦めた会計士を目指すようになりました。ただ、いざ始めてみると無職の焦りで手がつかなくなって、大学の就職課に知り合いがいたことから、その伝手でIPOを目指す会社の経営企画室の仕事を紹介されたのです。

その会社は結局エグジットになってしまったのですが、その後数回の転職を経て、デザイナーズマンションのデベロッパーの会社に入り、上場を成就できることができました。
実は、今の事業を立ち上げる前にCFOとしてのIPOを経験した3社は、会社の規模も業種もすべて違ったのです。

1社目は先ほど申し上げた通りで、デザイナーズマンションのデベロッパーで、2006年に上場、IPOしました。2社目はセールスプロモーション用のノベルティ雑貨を作っている会社で、2010年にIPOしています。

3社目は、Webマーケティング支援の会社で、IPOした後、1年9ヶ月後に東証一部に上場しました。責任者、統括者としての自分の過去のキャリアでは、この3社の経験がとても大きいです。

私は独立したいという意志を学生のころから持っていました。実家が商いをやっており、祖父や父が経営者として働く姿を見てきましたし、親の兄弟や親戚も自営業で働いている人ばかりだったのです。そういう環境もあって、独立して株式会社TOKYOフロンティアファームを立ち上げました。

失敗と挫折だらけの人生。上手くいかない時に客観的に自分自信を見つめ直し、全ては自分の至らなさのせいだと認め改める謙虚な気持ち

起業で苦労したことはどんなことでしょうか?また、今後の目標は?

私はビジネスマンとして生きていく中で失敗だらけだと思っています。上司と上手く行かずパワハラにも幾度となく遭い、引っ込み思案で人前で堂々と自分の意見を言えず何も成果が出せなかったりと20代は挫折だらけの人生で、転職も20代で3回、トータルではいままで8回しました。

すべての人や事柄から学ばなければならない、野球でもバッターは打率3割で一流ですが、7割は失敗しているわけです。失敗がほとんどなわけですから、成功から学ぶのも必要ですが、失敗から学ぶのが重要だと思っています。

大事なのは、上手くいかない時に客観的に自分自信を見つめ直し、他人のせいにせず、全ては自分の至らなさのせいだと認め、何が自分に足りないのかを考え、改める謙虚な気持ちだと身を持って感じています。人間は他人のことは評価できても、自分のことはわかっているようで案外わかっていないものです。常に的確な自己分析を心掛けるべきです。

私は、「うまくいったときは他人のおかげ、運が良かっただけと考え、うまくいかなかったときは自分のせいと考える」ようにしています。

あと、マネジメントも失敗だらけで、私に限らずかもしれませんが、大変難しい事柄ですが、私はカーネギーの有名な著書「人を動かす」を参考にしています。「人を動かす」では、常に相手の立場に立って考えることが説かれています。そして同時に、人の話を聞くことの重要性も説かれています。

比較するのも恐れ多いことですが、松下幸之助さんや稲盛和夫さんの肉声を聞いていると、流暢に、立て板に水といった感じでお話されるのではなく、訥々と、相手に伝わるようにお話をされています。そうすると「話すのが上手じゃなくてもいいのかもしれない」という自信を持つことができます。

かつては経営企画室長として、今は取締役として部下を持つ立場になっていますが、私の意識の中では、相手を部下と考えずに同じ組織で一緒に働く「同志」だと思って接しています。もちろん、私の管掌する部門における最終的な責任は私が持つというのは大前提です。

ただ、「自分は偉いんだ」、「何が何でも自分の指示に従え」といった考えは全く持ったことがありません。できるのであれば仕事は任せますし、それぞれが自分の力で最後まで完結してもらうということを目指しています。私はそれを支援、サポートすることを心がけています。

また、中庸の重要性を前述しましたが、世の中では総じて「バランス」が重要です。人間関係も同様でマネジメントも誰かに肩入れすることなくバランス感覚を持って平等に部下にも上司にも接していくことが肝要と思います。

私自身も一社員だった時代が長いですから、管理職の立場になった時に、すぐに意識をチェンジすることができたわけではありません。

特に難しいと感じたのは、部下同士の人間関係が悪くなった時の調整です。これは苦労をしました。

その時には、2人の仕事の役割を完全に分けるなどして対応しました。人間関係が悪くなる時には、私の経験上ですが、1人の方が一方的にもう一方を嫌うといった形が多かったですから、状況を見ながら、悪感情を抱いている方に気を遣うような形でマネジメントしました。
また、私は自分自身に能力がないと思っています。その私が全て指示をして……ということはできません。みんなの意見を自分なりに吸収して、その上で最終的にジャッジするという形にしなければ、物事はうまくいかないと考えています。

私自身が20代前半でマネジメントをやっていたら、そうは思わなかったかもしれませんが、様々な経験や、マネジメントに関する本を読んだ上で、今のスタイルに辿り着きました。

短期的な目標としては、地方のクライアントを増やしたいと思います。特に、私の出身地である北海道の企業を支援したいですね。

長期的なビジョンとしては、「アントレプレナーにとって、唯一無二の経営パートナーとなる」ということを掲げています。これは今すぐにでも取り組みたい私自身のミッションで、東京スタートアップ企業と地方の優良企業を結びつけて、スタートアップの成長支援と地方創生ビジネスと活性化支援を行うというものです。

新結合を促進することで、新産業を創出し、日本の経済発展の成長戦略に貢献していきたいと考えています。

最後にこのページをご覧になっている方へのメッセージをお願いします。

経営者の方々の中には、IPO(新規株式公開)はハードルが高いのではないか?と感じている方も多いのではないかと思います。しかし、本当に企業を成長させて、社会に付加価値を提供していきたいという強い思いがあれば、決して高いハードルではありません。そういう思いを持っていれば、上場はゴールではなく、真の意味でスタートになるでしょう。

ですから当社では、上場後の経営計画、エクイティファイナンスなど、「上場スタート」に向けたコンサルティングも行っていきます。私自身の経験から、上場後の成長に向けた資本政策を一緒につくっていければと考えています。

【本編のインタビュー動画はこちらからご覧になれます】
https://www.youtube.com/watch?v=a8HQCFNAGXU

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