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【資金調達の準備】独立起業するなら知っておこう!開業から資金調達まで<資金編>個人事業主/フリーランス

2023/04/12

Q:起業したいのですが、お金がありません。どうしたらいいですか?

 

A:資金繰りについては悩みやすいポイントですね。

 

結論から言うと、お金を集める方法はたくさんありますので、大金がなくても起業はできます。よって、資金を集めることばかりに集中しすぎないよう、自己資金以外で調達する方法を考えておきましょう。

 

今回は、実際に資金調達する前に準備しておきたいことについて、2つのパターンに分けて説明していきます。

 

「起業したいけど手元に十分な資金がない!」人は1へ

「もっと事業を大きくするためのお金がほしい!」人は2へ

 

※こちらの記事は、2023年2月時点の情報です。最新情報は国税庁のサイト等で確認されることをおすすめします。

 

 

 

1.「起業したいけど手元に十分な資金がない!」ときはどうする?

 

ここでは、開業時にある程度まとまったお金が必要な方向けに、開業前の準備について説明していきます。

 

小売業や飲食店など在庫や店舗を持ったり、はじめから人を雇う予定であったりする場合は、ある程度はじめから資金が必要だと思われます。

 

そのような方は、銀行や政府金融公庫からの「融資」を受けることが多いです。

 

※「株式からの資金調達」はスタートアップがよく実施する資金調達方法です。ここでは、融資を前提とした資金調達についてお話します。

 

 

◆ 計画の前に!「小さくはじめる」ことがポイント

 

資金や事業についての計画を立てるとき念頭に置いておきたいことは、あれもこれも設備を整えるのではなく、まずは最低限の設備投資で「小さくはじめる」ということです。

 

実際に、日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、2022年度の開業費用の平均値は1,077万円、中央値は550万円でした。加えて、250万円未満で開業する人も年々増加傾向にある一方、開業時の従業員数は減少傾向にあります。「小さくはじめる」方が増えているということですね。

 

さらに、調査は日本政策金融公庫で融資を受けた人が対象ですので、融資を受けずに開業した人もいることを考えると、実際にはもっと開業費用を低く抑えている方は多いと予想できます。

 

なぜ「小さくはじめる」ことが大切かというと、

・リスクを取りすぎて経営の冷静な判断ができなくなってしまう

・資金を自分で用意しようとして、開業までに時間がかかりすぎてしまう

・融資を受けるにしても、自己資金割合が決められているため、借入れられる金額には限度がある

などの理由が挙げられます。

 

事業内容や備品の調達方法などを工夫して、できるだけコストを抑えた起業を目指しましょう。

 

そして、今一度「独立や起業の目的は何だったのか?」というところに立ち返って考えてみましょう。

 

お金をたくさん稼ぐことでしょうか?好きなことや強みをいかして働くことでしょうか?はじめに無理な計画を立てて、借金に追われながら事業を進めていくことになってしまっては本末転倒です。あくまで自分らしくいられるように、余裕を持った計画を立てていきたいですね。

 

▼出典

日本政策金融公庫総合研究所「2022年度新規開業実態調査」

 

 

◆ まずは手元にある資金の把握!生活費も含めて洗い出そう

 

まずは、自分の持っている資金について洗い出してみましょう。手元の現金や預金に加えて、資産や今後入ってくるお金、ローンや税金など先々の支払いまで漏れのないように把握します。

 

現状把握が大切なのは、事業のために使える資金がいくらあるかを確認するというだけでなく、日常生活を送るためにいくら必要なのかを把握するという意味もあります。個人事業主の収支は生活に直結しますので、家計についてもあらためて見直すとよいと思います。

 

 

◆ 開業資金&運転資金の計画を立てよう

 

次に、開業に必要な資金と、当面の間事業を続けていくための資金計画を立てます。

 

開業や当面の運転資金として必要なお金は、具体的には次の通りです。

・広告宣伝費(ホームページや名刺、チラシなど)

・事務所の賃貸費用

 ※近年はパソコンだけで自宅で経営ができる事業が多いです

・備品の購入費用(通信機器、パソコンやプリンター、椅子や机など)

・交通費

・宅配や郵送費

・光熱費

・仕入れ費用

 

いずれについても、すべて一気に揃えようとするといくらお金があっても足りませんので、できるだけ安く抑える方法がないかよく考えましょう。例えば、新品でなく中古を購入する、人にもらう・借りるなどの方法が考えられますね。地元の掲示板や、事業団体(業界)の組合、あるいは、メルカリなどのリサイクルマーケットでも、中古をお安く仕入れることができます。ぜひ探してみてください。

 

 

 

2.「事業拡大のためにお金がほしい!」ときはどうする?

 

起業の際は特に必要なくても、事業を拡大するために設備投資をしたり、新たに人を雇ったりする場合、思ったように売上が上がらず事業の立て直しを図るような場合には、開業してから資金が必要になります。

 

このような場合、まずは現状の把握が大切です。理想は、いつまでに・いくらお金が必要なのかを正確に把握しておくことです。とはいえ、起業したばかりで事業が小さいうちは、何となく把握できてしまうことが多いとは思いますので、ここではより正確に把握するための知識をお伝えしていきます。

 

 

◆ これだけまずは知っておこう!5分でわかる簡単帳簿・財務三表

 

融資を受ける必要がないとしても、事業の収支を正確に把握するためには、日々の帳簿付けが重要です。複式簿記での記帳を日々きちんとしておけば、今後の予測も立てやすくなります。

 

複式簿記での記帳により、事業の収支把握に役立つ書類「財務三表」を作成することができます。

 

財務三表とは、

① 損益計算書(PL)

② 貸借対照表(BS)

③ キャッシュフロー計算書(CF)

の3つのことを指します。

 

財務三表のうち、①損益計算書(PL)と②貸借対照表(BS)は、青色申告をする場合は提出必須の書類です。税理士に記帳代行を依頼していたり、対応している会計ソフトを利用したりしていると自動的に完成してしまいますが、自分の事業の様子を測るためには有益な書類ですので、読み方を知っておくとよいと思います。

 

 

◆ 財務三表の読み方

 

財務三表は、税理士に記帳代行を依頼していたり、対応している会計ソフトを使用したりしていれば、自動的に作成されるものですので、作り方については省きます。詳しく知りたい方は、国税庁のサイトや簿記3級のテキストなどを参考にしてみてください。

 

財務三表とは、通常決算時に作成・提出する書類です。上場企業では株主に対して公開義務があり、公式サイト上で一般に公開されている場合もあります。個人事業主が青色申告する場合も作成・提出します。

 

それぞれの役割や見方について、詳しく説明していきます。

 

 

① 損益計算書(PL)

Profit and Loss Statementを略してPLとも呼び、会社の収益・費用・利益がわかる書類です。損益計算書では、利益を次の5つに分けて示しています。

 

(1) 売上総利益

売上高-売上原価=売上総利益 という計算式で求める、いわゆる粗利と呼ばれるものです。売上は本業の売上のみで計算します。

 

(2) 営業利益

売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益 という計算式で求めます。(1)から、本業の営業活動をするためにかかった人件費や消耗品費を差し引いた利益です。

 

(3) 経常利益

営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益 という計算式で求めます。営業外収益とは、本業以外から発生した収益、営業外費用は本業以外の営業活動をするためにかかった費用です。

 

つまり、(2)の本業での利益に、本業以外で得た利益を足したものが経常利益です。

 

(4) 税引前当期純利益

(3)の継業利益に、臨時で発生した収益を足します。経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益で求めます。

 

(5) 当期純利益

(4)からさらに、住民税や事業税、法人税などの税金を差し引いて求めます。

 

 

細かく説明すると複雑な感じがしますが、まとめると

どの事業で、どのくらいの売上をあげているのか?

・そのうち、仕入れや営業活動にそれぞれいくらの経費がかかっているのか?

本業での利益と、臨時に得た利益はいくらか?

・税金を差し引いて、結局いくら儲かっているのか?

がわかるということです。

 

事業の成績のみが端的に示されている書類というわけです。

 

 

② 貸借対照表(BS)

 

Balance Sheetを略してBSとも呼び、会社の資産・負債・純資産がわかる書類です。図を見ながら確認してみましょう。

 

複式簿記では、すべての取引を左側(借方)と右側(貸方)に分けて記帳していきます。賃貸借表も同じであると考えるとわかりやすいと思います。仕訳帳同様、左側の合計金額と右側の合計金額は同じになります。

 

資産 負債
純資産

 

【左側(借方)】

 

会社が所有している資産の内訳を示している部分です。

 

(1) 資産

現金や預金のほか、在庫や建物、土地などの売ればお金にできるもの、売掛金など入金される予定のものも含めた金額です。資産の換金しやすさによって、流動資産固定資産に分かれ、加えて過去から少しずつ費用となる繰延資産の3種類あります。

 

いわば資産の使い道が示されている部分で、資産が現金として手元にあるのか、現金ではないがすぐ現金になりそうな形なのか、備品になっているのか、商品として残っているのかがわかります。

 

【左側(借方)】

 

左側には、資産を手に入れるためにどのような方法を使ったのかが示されています。

 

(2) 負債

主に借入金や未だ支払っていない品物代など、他人から借りていて、これから出ていくお金です。こちらも資産と同じく、換金しやすさによって、流動負債固定負債に分けられています。

 

(3) 純資産

純資産は、資本金や利益など会社のお金で、返す必要のないものです。

 

こちらも複雑に見えてしまいますが、

資産のうち、負債はどのくらいか?

資金繰りはうまくいっているか?(流動負債よりも流動資産の方が大きいか?)

ということがわかる書類ということです。

 

 

③ キャッシュフロー計算書(CF)

 

キャッシュフロー計算書とは、現金(Cash)の流れ(Flow)の流れを示した書類のことです。資金調達を考えている場合、このキャッシュフロー計算書を元に借入金額を決めます。

 

キャッシュフロー計算書には、主に3つの項目があり、それぞれ次のような意味を持ちます。

 

(1) 営業活動によるキャッシュフロー

本業によって生まれたキャッシュフローのことです。当たり前ですが、プラスであることが望ましいです。

 

(2) 投資活動によるキャッシュフロー

固定資産の取得などによって生まれたキャッシュフローのことです。主に設備投資をどのくらい積極的に行っているかの指標になります。

 

(3) 財務活動によるキャッシュフロー

借入金によって生まれたキャッシュフローのことです。借入が多ければプラス、返済が多ければマイナスになります。

 

手元にある現金の流れのみを追いかけた、お小遣い帳に近いものです。事業や資金繰りについての状況は①や②のみで把握でき、①や②と違って個人事業主に作成義務はありません。しかし、それらの書類上は黒字であるのにも関わらず、手元の現金がなくなって倒産してしまう、いわゆる「黒字倒産」というものを防ぐためには必要です。

 

とはいえ独立起業したばかりの方にはあまり当てはまりませんので、手元にある現金の額を把握したり、調達する必要のある資金額を決定したりするための書類と考えておいてよいと思います。

 

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▼参考・出典

・国税庁 https://www.nta.go.jp/index.htm

 

 

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