病気に対する理解を広げ、「がん」になっても生きやすい社会を実現したい! 一般社団法人キャンサーペアレンツ 代表理事 西口洋平 | 「なりたい・したい」を「できる」に変える 次世代リーダーズのための :ゆめかなう

病気に対する理解を広げ、「がん」になっても生きやすい社会を実現したい! 一般社団法人キャンサーペアレンツ 代表理事 西口洋平

1979年生まれ、大阪出身。神戸商科大学(現:兵庫県立大学)を卒業後、求人・転職エージェント会社に入社。精力的に働く中、2015年にステージIVの胆管がんであると告知される。闘病中に孤独、不安などを感じた自身の経験から、インターネット上で子どもを持つがん患者のコミュニティサービス「キャンサーペアレンツ」を2016年4月にスタート。現在も抗がん剤による治療、会社勤務と並行して、精力的にこの活動を続けている。一児の父。
キャンサーペアレンツ公式サイト
https://cancer-parents.com/
キャンサーペアレンツブログ
http://nishiguchi.hatenablog.com/

「がんになっても生きやすい社会の実現」に向けた活動を継続していきたい

このお仕事をされる上での信条を教えてください。

35歳でがんを告知された当時、悩みや不安は尽きませんでした。若くしてがんになる方は、もちろん私だけではありません。同じ悩みを持つ当事者が集まり、共有・相談することで、孤独から解放され、前向きになれる…、そんなサービスが欲しいという思いから「キャンサーペアレンツ」を立ち上げました。
現在、会員数が1,200名を超え、多くのがん患者さんの支えになっている一方で、未来の患者さんたちにとっても希望の光となることを願います。そして、子どもを持つ立場から「子どもたちが生きやすい未来を創らなければ」という親としての責任もあります。そのために、がん患者さんのリアルな言動を「価値ある情報」として社会に発信し、がんに対する理解を広げ、「がんになっても生きやすい社会の実現」に向けて活動を行っていきます。そういった想いを繋いでいくためにも事業化し、しっかりと継続させなくてはいけないと考えています。

誰もが「がん」になる可能性を持つのに、病気に対しての理解が進まない現状

このお仕事を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

先程お話した通り、僕の場合は自身の病気がきっかけです。
病気は家族の絆を強くするという美談を思い浮かべる人も多いのですが、現実はそうではなく、本人はもちろん支える家族も大変。誰もがそんな状況と背中合わせで生きているのに、なかなか理解が進まないのが現状です。例えばカミングアウトした場合も、病気のひとつなのに「がん」というだけですごく過敏に反応されてしまう…、そういった状況を変えていかないとダメだと思っています。
また、「キャンサーペアレンツ」を立ち上げ、患者さん同士が相談できる場を提供するだけでは足りないと気づきました。患者さんたちの情報を外に伝えていくことで、「がん」という病気に対して正しい理解が広がり、偏見や誤解を生まない環境に変えていくという活動も大事だと思っています。あらゆる選択の中で「こうすべき」という正解はないけど、いろいろな情報を発信することで皆さんが判断する上での参考になればいいかと思いますし、それを提供できるのはすごく意味があることだと思います。「キャンサーペアレンツ」ではそういった活動をファーストステップとして行っていきたいですね。

活動を通じて新たな事実を知ることで驚き、大きな感動が生まれる!

「このお仕事を続けていて良かった」と思うのはどういった時でしょうか?

私自身が一番救われていますし、この活動をしているからこそ、ステージIVの胆管がんというシビアな病状ではあるものの、元気にいられるんじゃないかと主治医とも話しています。
また、昨年末に「子どもにガンをどのように伝えるか?」を主題としたコミュニケーションに関しての意識調査を行ったのですが、がん患者のリアルな声、生の声としての事実が明らかになり、大きな感動がありました。それは僕らがこの活動を始めたからこそわかったことなので、すごく良かったと感じています。
具体的には、「子どもに病気のことを伝えなければよかった」と回答した方はなんと0%だったということ。自由記述の中には「反抗期の子どもが家に帰ってこなくなった」というネガティブな反応もありましたが、その方たちも伝えることを肯定的にとらえている。全員が「いろんなことがあったけど伝えて後悔がない」と感じている事実は、患者として僕自身も驚きの結果でした。このような事実は、他の患者さんにとって考えるきっかけになるし、その数値を知った方の行動も変えていきます。
また「子どもに病気のことを伝えたのは圧倒的に母親が多かった」という集計結果も印象的でしたね。その結果から「父親と子どもの関係性が希薄」という現状が見えてくる。男性の場合は職場を失うと社会との繋がりも無くなる方が多いですし、この集計結果を通じて男性が孤立しないような社会的なサポートが必要だとも感じました。このような情報を発信することで、会社や病院、患者さんのサポート施設などの支援にも活かしてもらいたいですね。

活動を続けることで社会を変えていけるんじゃないかという期待感でワクワク

今後の目標を教えてください。

まずは生きること。これに尽きます。
それから先程の事業化に向けた取り組みや、がんになっても生きていきやすい社会を作るというビジョンの実現です。
ただ、実は活動の目標を設定しておらず、常にベストを尽くして今できることを最大限にやる!というスタンスですね。仮に会員数や売上など、数字上の目標を決めても達成できなかったら心残りになってしまうので。
今は「僕がやらなかったらこの活動は終わってしまう」というプレッシャーを感じつつ、続けることで社会を変えていけるんじゃないかという期待を抱いてワクワクしながら活動しています。

最後にこのページをご覧になっている方へのメッセージをお願いします。

僕の場合は「独立起業したい」という思いを持っていたわけではなくて、自分が病気になって感じた不安や不満、改善したい、環境を変えたい、という気持ちが今の活動に繋がっています。法人化したほうが資金も集められ、運営が継続できるという観点だけで会社を作ったんですね。
確かに最初の一歩は、がんという大きな病気を患ったから踏み出せたのかもしれないのですが、小さなことでも踏み出せるチャンスやきっかけは皆さんの周りにも意外と転がっているかもしれないし、そこに気付くかどうかが重要かもしれないですよね。
僕はまだ事業を起こして成功したわけではありません。僕自身も今後この活動を広げていく中で、事業を作っていきたいと思っています。

スペシャル取材関連URL

おすすめ関連記事

PAGE TOP