健やかで疾患のない穏やかな日々の中に幸せを感じるサービスを提供したい (株)メディカルラボパートナーズ 代表取締役 清水美雪 | 「なりたい・したい」を「できる」に変える 次世代リーダーズのための :ゆめかなう

健やかで疾患のない穏やかな日々の中に幸せを感じるサービスを提供したい (株)メディカルラボパートナーズ 代表取締役 清水美雪

元テルモ株式会社 主任研究員。医学博士。理学修士。経営情報学修士。入社以来、医療機器の開発部門に所属。血液関連製品、ホスピタル製品、電子機器、医薬品等、幅広い開発経験を持つ。また、開発部門の部門長として、研究開発組織全体のマネジメント、プロジェクトマネジメント、開発者の人材育成等を行う。

途中、東京大学医学部附属病院に出向し、研究の傍ら、病院組織の在り方について学ぶ。多くの医療現場に接する中で、多様化する病院、患者のニーズに応える医療機器を提供したいと思い、中小企業や医療業界への新規参入企業との医療機器開発を決意する。テルモ(株)を退職し、多くの企業との開発を可能にするため、医療機器開発のコンサルティング会社である(株)メディカルラボパートナーズを創業。

現在は、企業の医療機器開発を多角的に支援するため、市場調査やセミナーによる人材育成、開発コンサルティング等を行う。また、病院環境の改善を鑑み、ロボット導入や病院向け生花の販売も行っている。

健やかに 過ごせる幸せな日々、ありがたいあたりまえな日々というものを、皆さんに提供して 行きたいと思っています

ーこのお仕事をされる上での信条を教えてください。

病院組織は、働く人全員が『患者さんのため』を意識して、業務を行っています。

この中で使用される医療機器においても同様に、患者さんのためを想うことが求められ、その様な製品でなければ、病院の中には受け入れられません。

私は、患者さん、医療従事者に、少しでも快適で、より良い医療を提供できる様な医療機器を開発したいと思っています。私自身も病気を経験しまして健やかに
過ごせる幸せな日々、ありがたいあたりまえな日々をいうものを、皆さんに提供して行きたいと思っています。

医療従事者の仕事、医療業界の慣習を全く知らない企業にも、専門分野の架け橋となり、医療機器開発がスムーズにすすむようにコンサルティングをしています

ーそのために、具体的にどのようなことをされているのですか?

私は、医療機器業界に新規参入する企業の医療機器開発を支援するコンサルティング会社を行っています。

お客様は、異分野で様々な技術を培ってきた企業で、その突出した技術を用いて医療機器業界に新規参入する企業です。しかし、この様な企業は、医療現場のこと、医療従事者の仕事、医療業界の慣習を全く知らない企業が多く、それが原因で、医療機器開発に失敗している企業がたくさんいます。

私は、開発の始めに、お客様である医療機器の開発者に、医療現場のこと、医療従事者の考え方を説明した上で、開発を開始する様にしています。


また、医療機器の開発中は、医療従事者の意見を取り入れながら機器の形状や機能を設計していきます。しかし、医療業界や医療従事者の業務内容を知らない人が、医療従事者と直接話すことは、非常に難易度が高く、医療従事者が理解できる様に質問することや医療従事者の話を聞き、医療機器のスペックに落とし込むことができないことが少なくありません。

そのため、開発者が医療従事者に話を聞く時には、一緒に同席したり、代わりに話を聞いて、技術的な用語に置き換えて伝えるなど、医療従事者とお客様の通訳役を行い、患者さん、医療従事者のためになる医療機器を提供できる環境づくりをしています。

この様に、仕事の中では、お客様に説明することが非常に多く、お客様に理解してもらって、開発に反映してもらわなければならないことが多いため、常に、分かりやすく、シンプルに説明することを心掛けています。

自分が、お客様の製品開発を一歩前に進めるのに、役立つことができたと感じ る時が、一番楽しい時です

ー「このお仕事を続けていて良かった」と思うのはどういった時でしょうか ?

お客様と一緒に医療機器開発の課題に対する解決法を考えて、問題解決ができた時です。

医療機器の開発は、その医療機器が疾患の治療に有効であるという根拠データと人体に対して安全であるという根拠データを揃えなければならず、また、清潔な環境で異物が入ることなく製造しなければならないため、異業種の製品と同様の開発を行っていると、様々な問題が発生します。

この様な時は、発生している問題だけに目を向けても解決できないことが多く、問題が発生している周辺の環境や作業の流れまで精査しなければ、解決できないことも多々あります。

また、医療機器の安全性を維持するために、他の業界での解決策が医療機器に応用できないこともあります。私がこれまで経験してきた似たような課題の解決策を提示することで、開発中の医療機器の設計を大きく変えることなく、短期間で課題を解決できた時は、とても嬉しく思いました。

自分が、お客様の製品開発を一歩前に進めるのに、役立つことができたと感じる時が、一番楽しい時です。

お客様が開発した医療機器をよりスムーズに上市できる様に、 ワンストップサービスを提供できる体制を構築していくこと

ー今後の目標を教えてください。

今後の目標は、お客様が開発した医療機器をよりスムーズに上市できる様に、ワンストップサービスを提供できる体制を構築していくことです。

医療機器は、製品が完成したらすぐに販売できる訳ではなく、医薬品医療機器総合機構に製造販売のための承認申請を行い、認められた物だけ、販売することができます。また、医療機器を製造する企業、承認申請や営業をする企業、病院に販売する企業は、それぞれ業許可が異なっており、それぞれを取得しなければ、製造、承認申請、営業、販売することはできません。

そのため、初めて医療機器を開発する企業は、いずれかの業許可を取得しなければならず、また、不足する業許可については、他の企業を探して委託しなければなりません。

しかし、企業にとっては、委託する企業の探索が非常に難しく、時間を要します。せっかく製品の完成まで無事に漕ぎつけたのに、この様な課題を解決できずに上市までの時間をロスするのは、非常に心苦しいことから、この様な状況を解決できるサービスを構築していきたいと考えています。

医療機器の開発は、様々な法規制があり大変ですが、患者さんの疾患の治癒、治療の改善に繋がる非常にやりがいのある仕事です。企業の突出した技術を医療機器に応用し、患者さんにより良い治療を提供してくれる企業が増えていくことを願っています。

ー最後にこのページをご覧になっている方へのメッセージをお願いします。

私は、研究所で働く毎日でしたが、起業して、全てのことを自分でやらなくてはならなくなりました。初めは、バタバタしていましたが、最近は、それをやれる楽しみをとても気に入っています。また、お客さまが近いこと、お客さまの反応がすぐに返ってくることに、とてもワクワクを感じて仕事をしています。今までは、研究開発ということで、開発している物からの反応に目を向ける生活でしたが、今は、物だけでなく、ヒトからの反応にも目を向ける点で、仕事の幅が広がっている事を感じます。アイデアをとにかく実行してみて、検証していくところは、研究員も起業も同じであり、私に合っていると感じます。なにか自分のアイデアを試してみたい、実現してみたいという「気持ち」があるならば、一度、自分の気持ちに素直に従って実行してみるのもよいかもしれません。

スペシャル取材関連URL

おすすめ関連記事

PAGE TOP