心も身体も満たす”幸せを増やすビストロ”を創りたい。外食産業を憧れの仕事にする株式会社PLEIN(プラン) 代表取締役 中尾 太一 | 「なりたい・したい」を「できる」に変える 次世代リーダーズのための :ゆめかなう

心も身体も満たす”幸せを増やすビストロ”を創りたい。外食産業を憧れの仕事にする株式会社PLEIN(プラン) 代表取締役 中尾 太一

調理師学校卒業後、星野リゾートに新卒入社。
​軽井沢ホテルブレストンコートにてフランス料理を研鑽。
同社グループの飲食事業の本社統括部に同社最年少で就任し、飲食部門のプロフェッショナルとして手腕を発揮。
株式会社スマイルズに転職。レストラン事業における新規事業推進、人材開発、商品開発職を担当する。
2017年株式会社PLEINを設立し代表取締役に就任。食に特化した商品開発、人材開発、業態開発、飲食店運営として表参道・麻布十番にフレンチビストロBistro pleinを出店。
2020年7月 アフターコロナに特化したカフェとショップ機能を併設した新業態を代々木上原に出店予定。

お店に関わる全ての人々が幸せになる場所及び運営ノウハウの提供

どのような事業内容を展開されていますか?

「外食産業を憧れる仕事にする」をコンセプトに、従業員も、お客様も、取引業者様も共に豊かに、そして幸せになる飲食店運営を目指し、その運営ノウハウを他社にシェアする事業をしています。

飲食店運営では、
「労働時間が長い」「給料が低い」「休みが少ない」
という外食産業のネガティブなイメージを払拭すべく、外食産業の形に合わせた「働き方改革」を推進しています。

フランス料理の飲食店では珍しい、完全週休二日制・年間休日110日という運営体制を創業時より続けています。

私自身も料理人であるため、飲食店で働く事は「職人仕事」だと考えており、誇りを持って働いています。職人として食を通じて幸せを創る。美味しいものを作る。その仕事の質を担保するためには、一定の時間をかける事は必要不可欠と考えております。

しかし、飲食店は、労働集約型であり、非効率で個人のマンパワーに依存しがちです。そんな飲食店での働き方の現状は、「働き方改革」を掲げる現代においては持続継続性が乏しく、今後続けていく事が難しい事も危惧しています。

大切な事は、ただ働く時間を削るのではなく、「職人として仕事に打ち込む時間と、人間として豊かに生きる時間のバランス」が大切だと考えております。
「楽ではなく、楽しく働く!」
メリハリを持って職人仕事を楽しめる環境作りに努めています。

運営ノウハウを他社にシェアするalliance事業では、フードビジネスに特化した「コンサルティング」を行っています。
外食産業に特化した「人材採用」「人材開発」「運営改善」などをお手伝いをする仕事です。

最近では、外食産業で独立したいという方から、コロナの影響で経営が困難な経営者さんから相談をいただくことも増えています。

人の役に立て、関わる人が幸せで豊かになるかどうか

お仕事をする上での信条は何ですか?

仕事をする上での信条は3つあります。

・誰かの役に立つ事かどうか
・関わる人が豊かになるかどうか
・多様性を認めること

外食産業で働く事が大好きな仲間が集まった会社で、食の力で多くの人を幸せにしたい。
そんな想いを胸に毎日挑戦を続けて、仕事を楽しんで生きる。それが自分の幸せであり、仕事をする上での信条だと考えています。

学生時代の成功体験と外食産業のネガティブなイメージを変えたいという強い想い

このお仕事を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

「起業するきっかけ」は2つあります。

1つ目は、学生時代のアルバイトです。

父が読書家だったため、家に仕事術・経営というジャンルの本が当たり前にある家庭でした。
中学生の頃から毎月30冊以上のビジネス書を読み漁っていたのです。
高校生の頃から「(自分は)起業するだろうな」と漠然と思うようになりました。

18歳の時、予備校に行きながらマクドナルドでアルバイトをしました。
実際に働いてみると、店の課題や改善点が目に付き、毎日課題分析をしたレポートを店長に提出するようになりました。気づいたら、3カ月で店長代理になっていました。
仕事をして、その成果を人に認められる成功体験をしたことが想像以上に楽しく、飲食業界で働きたいと思うようになったのです。

父に進路を調理師学校に変えたいと相談したところ、そんなに甘くないと大反対されました(笑)
しかし飲食業界の分析や、今後飲食業界で成功するためにはどうしたらいいかを18歳なりの観点で父にプレゼンしました。
その際、父は、確かにフードビジネスで専門性を持っていてゼネラリストの人は少ない。
そのポジションに立つキャリアなら、フードビジネスで成功できる可能性はある。
まずは、料理人になって経営もする、専門性と経営を兼ね備えた人間になりなさい、プロフェッショナルスキルを持ったゼネラリストになりなさいと言われたのです。
その言葉を受け、調理師学校に入り、飲食業界で専門性と経営を兼ね備えた経営者を目指すことになります。


2つ目は、会社員時代に外食産業=ブラックというイメージを払拭したいと強く思ったことです。

調理師学校卒業後、星野リゾートに新卒入社し、株式会社スマイルズに転職後はシェフをしながら採用の仕事も兼任していました。

採用面接にきた人に転職理由を聞くと、ほぼ全員の人の回答が非常にネガティブ。
「結婚したいけれども、今の給料では生活できないので転職したい」
「労働環境が過酷で体がついていかない、労務管理がきちんと整っている会社が良い」
外食産業の転職では、ポジティブな転職をしている人がほぼいなかったのです。

自分自身、お世話になった2社で働いている時はとても恵まれていました。裁量もいただいていたし、評価もしていただいていたので収入面でも満足していました。
だから、外食産業がそこまでブラックというイメージがあると思っていませんでした。

しかし、自分は食の仕事が一生の仕事と思っているのに、外食産業に関わった人が、身体を壊したり、金銭的に続けていけないと言っている現状。

何とかして、この外食産業=ブラックというイメージや現状を変えたいと強く思うようになり、「外食産業を憧れる仕事にする」というのをビジョンに立てて起業しようと決心しました。

従業員満足度と顧客満足度に直結することだけを徹底的にやり抜く

事業経営で成功するするためにこころがけていることはありますか?

選択と集中を大事にしています。
やらない事をまず決めて、やると決めた事を徹底的にやり抜く事を大切にしています。

飲食業を作るのは人の力の理念の下、
「何をするかより誰とやるか」を考え、限られた経営資源の中で何にフォーカスすれば従業員のパフォーマンスが最大限発揮されるのかを考え運営しています。

具体的には、従業員満足度と顧客満足度に直結しない事は全てやらない事を心がけています。

飲食店運営の労働生産性が上がらない理由の一つに、営業時間に依存した長時間労働が課題だと捉えています。
弊社の運営店舗は完全週休二日制にしています。月曜日火曜日の週2日は完全に店を閉めますし、開店日のランチ営業も行っていません。

営業時間が短い分、労働生産性を上げなくては経営が成り立たないので、業務効率向上や強制的にイノベーションが起きる環境を作っています。

そのため、従業員がメリハリを持って働き、サービスレベルが上がっていると実感しています。
その結果、顧客満足度が上がり、リピート率が上がり、売上が上がっています。

また、従業員満足度が上がるとコストカットも実現します。
従業員満足度が上がると、退職する従業員が減ります。そのため、コストとなる広告宣伝費や、新規採用の採用費や教育費も下がります。弊社は現在、社員数10名で、全員リファラル採用です。

3K産業と揶揄される外食産業において選択と集中を行い、新しいビジネスモデルを作る事を目指して運営しています。

今後の目標は?

時代に合わせて世の中に貢献する価値を深められる経営を目指したいと思っています。

2020年7月に、アフターコロナに特化したカフェとショップ機能を併設した新業態店舗(カフェ)を代々木上原に出店する予定です。
この新業態店舗は、コロナという今まで経験したことのない状況を経験したからこそできた業態です。

コロナの影響で2カ月間、テイクアウトもせず店舗を閉めていました。完全休業ですね。

休業前の2月ごろに、知り合いのメーカーに
「コロナの影響で、これからオンラインショップに絶対需要があるから、一緒に商品をつくろう」と声をかけて商品開発をしました。

開発した商品をオンラインで販売したところ、とても大きな反響がありました。
そのおかげもあり、休業中でもお客様に様々な食のしあわせを提供できましたし、売上面でも非常に助りました。

その経験があったからこそ、これからウィズコロナ時代を生き抜くために必要なことを見つけることができたと思っています。

コロナという状況下で、外食産業で働く僕たちができることは、
「お店に来てください」ではない。
「お客様のところにどれだけ滑らかにお店の味をお届けするか」ということ。

これからは、お客様がおいしいものを食べたいという本質は変わらないけれども、必ず食べ方や楽しみ方が変わっていく。それに対し、外食産業はお客様の気持ちや動向に寄り添う必要があるのです。

今までは、夜のビストロという業態でしたが、このコロナという状況では幾ら値段を下げてもお客様は来てくださらない。誰が悪いわけでもない。コロナという社会的な問題でご来店されない。

それならば、僕たち外食産業がお客様に寄り添い、
・ご自宅でも楽しんでいただける
・3密を避けた形でカジュアルに楽しんでいただける空間を提供する
そんな場所や形が必要だと思ったのです。

2020年7月に出店予定のカフェは、オンラインショップの商品がテイクアウトでき、イートインもできるようになっています。
外食産業というものの在り方を変える業態を作っていて、社内ではこの店舗を「ウィズコロナ業態」と呼んでいます。

次、またコロナのような状況が起こるかわからない。時代に合わせて世の中に貢献できる会社に変わっていかないといけない。そんな思いを込めて新業態のカフェを出店します。

変わらないために、変わり続けること。
「ベストセラーよりもロングセラー」大きく儲けなくても持続継続性のある、世の中に貢献する価値を深められる、そんな経営を目指しています。

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