人が幸せになったり、生活や心に余裕ができたりする手助けをしたい 小澤保志
2019/08/28
「人を幸せにする会社をつくりたい」システム開発事業とクライミング事業の二本の柱で展開
Profile
中学、高校生のころ松下幸之助や本田宗一郎のように、独創的で関係者を幸せにできる起業家になりたいと夢を抱く。
大学は経営学部にて、経営学と会計学を学ぶ。起業する夢を抱いているものの、何で起業するか見つからず、経営が学べるかも、との理由から1995年、証券会社に就職。
証券会社では、ベンチャーキャピタルや引き受け業務など主に法人業務に携わる。
ベンチャーキャピタル勤務時の伝で、Web制作会社に上場担当として転職。当会社は上場しなかったものの、当会社の役員、システムエンジニアで現在のパートナーである林と出会う。将来ともに起業することを約束し、一旦それぞれ別の道を歩むが、2005年システム受託開発会社を起業する。起業後順調に業績を伸ばしていたが、リーマンショックにより、業績悪化、業容を縮小する。
精神的に疲弊していたころ、登山・クライミングに出会い、マッターホルンに登頂により精神の安定を取り戻す。その経験により、登山・クライミングを世間に広めたいとの想いから、クライミングやアウトドアに関する事業を画策、2年の準備期間を経て2015年ボルダリングジムを開店。
どのような事業内容を展開されていますか?
現在はシステム開発事業とクライミング事業の二本の柱で展開しています。
システム開発事業は、受託開発を主に行っています。特に、ライフプランシミュレーションに強みを持っており、生命保険会社さんの1万台の営業端末に弊社のシステムが入っています。また、大手の福利厚生代行会社さんにもシステムを納品しています。
大手システム会社に比べると、小回りが効き柔軟な対応ができることも強みで、10年以上前の起業当初に作ったシステムを、今も改良しながら使っていただいているクライアントもいます。「何度か他社でのリニューアルや既存サービスでの代替を検討したが、御社が作ったもの以上のものはない」と、ありがたい声をいただき光栄に思っています。
また、自社サービスも実験的に展開しています。
バイタルなび https://www.vitalnavi.com/
ライフプランシミュレーション http://www.moneken.com/
クライミング事業は、ボルダリング施設の運営をベースにしています。ジムに来ていただいての各種レッスンを行うほか、インドアのボルダリングだけでなく、アウトドアでの講習会も開催しています。
お客様は、フィットネス感覚で来られる方、オリンピック種目にもなった「スポーツクライミング」をやりに来る方、そして登山に興味がある方…とさまざまです。
クライミングの種類にとらわれず取り組むことで、門戸を広くしつつも、アルパインクライミングやドライツーリングなどニッチなユーザーも取り込んでいます。
このお仕事を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
中学、高校生のころから、松下幸之助や本田宗一郎のように、独創的で関係者を幸せにできる起業家になりたいと夢を抱いていました。ただ、何で起業したらいいかわからなかったので大学卒業後は証券会社に就職しました。
直接のきっかけは、転職先のWeb制作会社で、現在のパートナーとなる林と出会ったことです。社内の管理システムを林と二人で企画開発していましたが、ちょうど同時期にサイボウズが上場し、自分たちにもできるのではないか?との勘違いから起業へと繋がっていきました。
起業後はシステム開発で順調に業績を伸ばしていましたが、リーマンショックにより、業績が悪化。精神的に疲弊していた頃、クライミングに出会いました。マッターホルン登頂に挑戦したことによって精神の安定を取り戻した経験が、現在のクライミング事業につながりました。
お仕事をする上での信条は何ですか?
根底にあるのは「人を幸せにする会社をつくりたい」さらに「従業員も幸せな会社をつくりたい」という思いです。コンビニのPOSシステム、企業内のグループウェアなどは経営に進歩をもたらしました。各種SNSは人々のコミュニケーションの方法を一変させさせました。優れたシステムは世の中を良くすることができると考えています。
そのようなシステムを作りたい。作ろうとするものの一部でも、小さくてもいいから「世の中を変える何かを盛り込みたい」という思いで仕事をしています。
システム開発事業者の大多数は、人材派遣業者となっており、自社にて企画・設計をしていません。弊社は、企画・設計工程から携わっており、また、自社の独自サービスにもチャレンジしてきました。お客様のために良いものを作ろうというのはもちろんですが、お客様の先のエンドユーザー様が幸せになるもの、生活に、心に余裕ができるものを作りたいと考えています。
また、マッターホルン登頂によって精神的に救われた経験も大きいです。クライミングという非日常的なスポーツをすることが、日常の生活にプラスに働くと考えています。ジムの外、自然の岩場や山では、自然のルールに従い、自分の力で挑戦することになります。そこがクライミングの特殊性で、他のスポーツに比べると、より冒険に近いスポーツといえます。
こうしたスポーツに「挑戦する」「達成する」そして「楽しむ」経験がプラスになることを実感しているので、クライミング事業を通して、人が幸せになったり、生活や心に余裕ができたりする手助けをしたいと考えています。
起業や経営者に必要なものは何だと思われますか?
パートナーとの出会いです。パートナーの必須要件は、自分が持っていない能力を持っている人が第一。次に、根幹の部分で共感できる部分があること。そして、お互い見捨てないこと、信頼関係でしょうか。
よいパートナーに出会うには、自分が動かないと相手は現れないですよね。自分自身も、転職先で現在のパートナーと出会いましたし、クライミング事業をスタートする際も、動き始めたらひょんなところから、ボルダリングジムをやりたいと思っている人がいると紹介してもらえました。
14年会社を続ける秘訣は?
あきらめないこと。結局会社って、社長があきらめたらそこで終わってしまうんです。一旦潜伏してでも縮小してでも、とにかく続けることが大事だと思います。
経営していたら、内向きになることもあります。そういう時、若い頃は無理に気分を変えたり頑張ろうとしたりしましたけど、今は、寝ます(笑)あとは、だらっとする。
先日久しぶりに3連休があって、晴れていたら山に行っていたと思うのですが、あいにくの天気だったので、3日間自宅でゴロゴロしながら録画した映画を見まくりました。そういえば、ここ何年も映画をちゃんと見てなかったな…と。内向きになった時は変に頑張らないで、心洗われる時間も大切だと思います。
会社を経営していると、自分の精神状態がもろに従業員やスタッフに伝わってしまいます。いい仕事をするには、自分を大切にすること。常に幸せな状態におくようコントロールすることが大事です。
今後の目標と最後にこのページをご覧になっている方へのメッセージをお願いします。
今後日本は人口の減少により、経済がシュリンクしていく社会に突入していくと思います。大手自動車会社は終身雇用を維持できないと明言しました。年金制度は維持されても、十分な支給はないのではないかと考えられます。
そんな状況において、私たちがちょっと違う視点で物事を考え、行動を起こすことによって、社会がいい方向に動いていくのだと思います。
システム開発事業については、新たな自社サービスを始めて、収益化したい。受託ではなく、アイディアからすべて自社で考えたプロダクトやサービスをやりたいですね。
クライミング事業では、室内のクライミング講習に加えて、アウトドアでクライミングに挑戦する人を増やしたい。さらにアウトドアで登るお客様のコミュニティを作りたいです。
また、海外の方に、ジムに来ていただくだけではなく、日本のアウトドアフィールドを紹介したいとも思っています。日本には豊富な山岳資源があります。スイスのように山岳資源を活かした観光行政を行うと、経済的にもいいのではないでしょうか。
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