【海外レポ連載】北欧留学経験をもとに、日本の「働き方・生き方・幸せ」について思う事 <連載1 プロローグ>
2018/12/11
はじめまして、矢野心平です。
このコーナーを担当させていただきます矢野です。まず、簡単に自己紹介をさせていただきます。
現在、早稲田大学国際教養学部3年生。中学時代から日本の労働環境について興味を持ち始め、働き方改革や労働問題について学習を始め、高校2年次にスウェーデンに1年間、大学入学後はデンマークのコペンハーゲン大学に1年間留学し、人材資源管理や社会保障制度について学んできました。帰国後の現在も、大学で北欧政治を学んでいます。
このコーナーは、北欧留学経験をもとに、日本の「働き方・生き方・幸せ」について、時に比較をしながら、思う事をまとめていこうと思います。よろしくお願いいたします。
あなたには、あなたの「幸せの定義」がありますか?
人間の幸せのあり方は、人によってそれぞれあります。ただその幸せを実現できていない人が大多数ではないでしょうか。
「自分が幸せだと思える状態」を実現できない理由は大きく分けて2つあると思います。
1:「自分が幸せである状態」を見つけることができていない人
2:「自分が幸せである状態」を見つけても実現することが難しい人
だと思います。
ここで大事なのは、「状態」です。つまり、「幸せだなと感じている状態」。
よくある例えですが、お金があったりステイタスがあったりすると、それは幸せと感じる状態にもっていく有益なツールが揃っているということではありますが、それ自体が幸せということではないということです。
私は、現在大学3年生で就職活動をしている最中です。正直、どんな仕事が自分に合っているのか、どんな生活を望んでいるのか、お金がたくさん欲しいのかさえもわかっていない状態です。つまり上の「1」のタイプの人間であると思います。
これから就職をし、趣味を見つけ、「自分が幸せだと思える状態」を見つけていく途上です。その過程も、この連載で書いていきたいと思います。
現在の日本が抱えている問題は、「機会」の少なさ
ちなみに、個人ではなく、現在の日本の社会構造が抱えている問題は、先ほど述べた「2」の人々に対する「機会」が少ないことです。「自分が幸せである状態」を見つけても、実現するための社会的環境や経済的環境が、支援するどころか、それを実現するのを阻んでいる状態です。
例えば、教育を受けることが最高の幸せな状態の人がいても、住んでいる地域や貯金額によって受けることができない。趣味のスキーをしたい人がいても、毎日残業し、土日出勤を強いられているために行くことができない、といったような状況です。つまり、機会が不平等であるということ。そして、それが、資本主義の経済ルールという枠組みの影響が大きいからであるからかもしれません。
資本主義の現代では、「なんでも金で買える世界」ではなく「なんでも金で買わなくてはならない世界」です。そのために、多くの人にとっては、労働が生活の一部もしくは、全部になっているわけです。
それでも「自分が幸せである状態」を実現するためには、以下の2つが必要になると考えています。
a:他の人と同等の機会を与えられていること
b:したくないことに縛られすぎていないこと。
「a」は、生まれ持った環境、つまり親の財産や生まれた場所に関係なく、他の人と同じ教育を受けたり、他の場所で仕事を見つけたりすることができる状態です。これは、インターネットの発達や国際化によって少しずつ解消されてきている部分でもあります。
「b」は自分で調節できる部分ですが、責任や友人関係などがあるために今やっていることが嫌でもやめることができない状態です。これは、自分のやりたいことと、その瞬間にやっていることが大きくことなるため、ストレスの原因になります。やりたくないことをやめれるかどうか、も幸せになるために大事な要因です。
北欧諸国は、この両方を実現させるための政策を積極的に行ってきました。結果、日本と同様の社会問題を持っていたが、解決することができたのです。
この内容については、連載で、詳しく後述していきたいと思います。
本当の「働き方改革」とは何か
現在日本の政府が行なっている「働き方改革」は、既存の制度を改革することによって、日本の世界における経済的な競争力を付けようとすることを狙っています。そのために、雇用関係や給与体系を変革しようとするのが、いわゆる「働き方改革」と言われています。
この連載では、法律で変えることができる北欧の「制度」の部分を見ながら、実際に働く人々の「考え方」や「幸せの定義」に注目して、日本人がどのように変わっていけるかを考えていきたいと思います。つまり、日本の世界における経済的な競争力という国家的な改革目的ではなく、私たち生活者の「働き方・生き方・幸せ」の視点を踏まえてです。
ちなみに、北欧諸国は、多少の違いはあれど、以下の3つの点でこれからの日本が見習うべき文化や価値観を持っていると考えます。
1:教育に対する考え方。
2:家庭の存在意義
3:働く理由
私はこれらを、「働き方改革」の施策にどう入れていくかということが、キーになると考えています。そうすると、おのずと、適切な「ワークライフバランス」が保たれていくということになるのではないかとも思います。
次回に続く
著者プロフィール
矢野心平
早稲田大学国際教養学部3年生。中学時代から日本の労働環境について興味を持ち始め、働き方改革や労働問題について学習を始める。高校2年次にスウェーデンに1年間、大学入学後はデンマークのコペンハーゲン大学に1年間留学し、人材資源管理や社会保障制度について学ぶ。帰国後の現在も、大学で北欧政治を学んでいる。