脂肪が減る!?今注目を集めている物質「オステオカルシン」
2018/12/27
脂肪を抑える効果があると注目されている物質
「オステオカルシン」
医薬品やサプリメントなどへの実用化へ期待
「脂肪が減るクスリ」、手に入れたいという人が殺到しそうですよね。そんな薬やサプリメントが実用化されるかもしれません。
今、脂肪を抑える効果があるとされ、注目されている物質があります。
その物質は「オステオカルシン」。
医薬品やサプリメントなどへ実用化できないか研究が進められています。
<参考ページ>NHKホームページ
骨ホルモン「オステオカルシン」とは!?
オステオカルシンは、骨を形成する細胞である骨芽細胞が分泌するタンパク質で、骨ホルモンとも言われています。
骨は破骨細胞が骨の主成分であるアパタイトを溶かして削り、削られた部分に骨芽細胞が新たな骨を作るリモデリング(新陳代謝)を繰り返します。
その新たな骨を作る過程で、骨の中でホルモンが作られることが研究の結果わかりました。そのホルモンが「オステオカルシン」です。
オステオカルシンは骨を作る過程で分泌され、血液中を巡り、心臓や肝臓など多くの臓器の働きを活性化し、人間の体に、さまざまなメリットをもたらしてくれる物質で、臓器を活性化させるスーパーホルモンとして注目されているのです。
<参考ページ>美ST Onlineホームページ、ananwebホームページ、けんかつホームページ
研究でわかった女性にうれしい2大効果
最新研究で、この骨ホルモンに女性にうれしい驚きの効果が見つかっています。
①ダイエット効果
カロリーオーバー気味のマウスにオステオカルシンを投与しつづけたら、肥満が抑えられたという結果が報告されています。
オステオカルシンを研究している福岡歯科大学客員教授の平田氏によると、
「私たちのカラダの中で脂肪細胞はないといけないものですが、それが増えすぎると、メタボリックシンドロームを引き起こします。
その脂肪細胞を小さくするような働きがオステオカルシンにはありますから、美と若さにとって重要。」とのこと。
今後、医薬品やサプリメントに実用化されたら、脂肪抑制への効果が期待できますね。
②アンチエイジング
オステオカルシンには、老化を引き起こす活性酸素からカラダを守る力があることもわかっています。
金属が酸化するとさびて茶色くなるように、肌も酸化してさびます。
肌が酸化すると、シワやシミ、くすみ、たるみなどの肌悩みが増え、肌の老化が加速します。
肌の酸化には活性酸素が大きく関わっています。
活性酸素は、私たち人間が酸素を吸って体内でエネルギーを燃やす時にできます。通常、活性酸素による酸化は、体内にある抗酸化酵素の働きで防ぐことができます。
しかし、加齢に伴い、抗酸化酵素の働きは弱くなるため肌の老化が加速してしまうのです。
オステオカルシンを人間の皮膚に投与すると、活性酸素濃度がどんどんうすくなっていくという結果が出ています。
つまり、オステオカルシンは活性酸素を消去してくれる働きがあり、体の老化を減速させ、アンチエイジング効果があるのです。
<参考ページ>NHKホームページ
女性目線が研究を大きく前進させた
今回、研究が大きく前進したポイントは、実験にメスのマウスを使用したことでした。
通常、実験にはオスのマウスを使用することが多いのだそうです。
その理由は、メスは妊娠もするし、ホルモンバランスの変化が大きいため、データがばらつくことがある一方、オスは安定したデータがとれ、手間もコストも抑えられるからなのだとか。
メスのマウスを利用して研究したのが九州大学大学院の溝上顕子准教授。
オステオカルシンをマウスに投与したところ、メスの脂肪細胞が小さくなったのです。
一方、オスの脂肪細胞は大きくなるという結果に。男性ホルモンが影響したものと考えられています。
溝上教授はこう言っています。
「オスだけで研究していたら、『オステオカルシンは効果がない』、あるいは『悪さをするもの』と位置づけて、研究をやめていたかもしれません。他の研究でも、オスとメスで違いが出てくる可能性はあると思います。どちらかの性だけが不具合や不利益を被るというのは避けるべきで、しっかり検討して研究を進めていかないといけないと思います」
実験研究を行う上で必要とされているのが「ジェンダード・イノベーションズ」
男性と女性では考え方や問題解決の手法、リスクの取り方で違いがあります。そのため男性だけ、女性だけと偏らないよう、研究室には多様性が不可欠という考えです。男性、女性両者がいることで、科学で得られる知見の視野や幅が広がるのです。
今回の「オステオカルシン」も女性ならではの目線があったので研究が前進しました。
研究開発の現場に女性が増えることで、多様な考えをもつ人たちも増え、研究の質が高まっていくことが期待できますね。
<参考ページ>NHKホームページ