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【2023年1月最新情報】独立起業するなら知っておこう!税金や確定申告、社会保険制度の最新情報<番外編>個人事業主/フリーランス

2023/02/04

Q:独立起業を考えています。制度や法律がすぐ変わるのでよくわかりません。

 

A:税金制度は、毎年何らかの制度が改正されています。会社員として働いている大部分の人たちにとっては、影響がない(あるいは勤務先が対応してくれる)ためか大きく報道されないことも多く、自分から情報をチェックしていなければ、知らないうちに制度が変更されていた、なんてこともあり得ます。

 

そこで今回は、近年話題になったトピックや制度改正の中から、個人事業主・フリーランスの方が知っておくべきものをピックアップしました。

 

※こちらの記事は、2023年1月時点の情報です。最新情報は国税庁のサイト等で確認されることをおすすめします。

 

 

1.独立起業するならチェックしておきたい、2022年話題になったトピックス

 

◆ 2022年の最大トピックスは「インボイス制度」

 

2023年10月から「インボイス制度」が導入されることが決まりました。インボイス制度は、フリーランス・個人事業主にとっては、税金や事務的な負担が増える場合もあるなど、大きな影響のある制度です。

 

独立起業したばかりの方は「免税事業者」であることがほとんどであると思いますが、インボイス制度導入後にも免税事業者を続けるか、課税事業者として登録するかの決断を迫られることになります。消費税の仕組みやインボイス制度については、インボイスと消費税を参照してください。

 

制度開始間近ですが、変更点や経過措置が随時発表されています。国税庁のインボイス制度特設サイト(リンク:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm)で最新の情報が発信されているので、こまめにチェックしましょう。

 

2023年1月までに発表された情報の中で、注目したいのは以下の2つです。

 

 

① 課税事業者への登録期限の変更

 

当初、2023年10月1日からの制度導入開始時点で課税事業者となるためには2023年3月末までの申請が必要でした。しかし、2023年9月30日までに申請を行えば、10月1日を登録開始日にできると発表されました。ただし、登録通知までには、e-Tax提出の場合で約3週間、書面提出の場合で約2か月かかるので、決めたら早めに申請しましょう。

 

 

② 突然仕入れ税額控除ができなくなるわけではない

 

インボイス制度が始まってからも、免税事業者(適格請求書発行事業者以外の事業者)からの課税仕入れでも、一部を控除できるように経過措置が設けられました。必要事項が記載された帳簿や請求書を保存することで、仕入税額相当額の一定割合を、仕入税額とみなして控除することができます。

 

・ インボイス制度開始から2026年9月30日まで:仕入税額相当額の80%

・ 2026年10月1日から2029年9月30日まで:仕入税額相当額の50%

 

インボイス制度に備え、早めの判断は必要ですが、制度について理解してから判断する時間はあります。また、すでに課税事業者となる判断をした場合にも、経過措置などについて知ると対応が変わってくる場合もあります。

 

最新情報をインボイス制度特設サイト(リンク:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm)や国税庁のサイト等で確認されることをおすすめします。

 

 

◆ 税務署に行く必要なし!進む確定申告の電子化

 

キャッシュレス決済の普及を促進するために「キャッシュレス・ポイント還元事業」が行われていたことが記憶に新しいですが、実は確定申告でもキャッシュレス化・電子化が進んでおり、一部の法人の法人税などの申告は電子申告が義務となっています。個人の場合も、一部の場合を除きe-taxから確定申告を行うことで、税務署に行くことなく確定申告を完結できるようになっています。

 

電子申告をすると控除額が優遇されていることから、今後電子申告が主流になっていくことも考えられます。焦って対応する必要はありませんが、最新情報を常に入手することを心がけましょう。確定申告シーズンの税務署はたいへん混雑しますので、電子申告の方法も含め、書類などに不安な部分がある方は、早めに解決しておきましょう。

 

以下に、電子化のポイントをまとめました。

 

 

① e-taxからの電子申告をすることで、青色申告特別控除を最大限利用できる

 

青色申告の大きなメリットの1つは、青色申告特別控除です。2020年から、青色申告特別控除の最大の65万円の控除を受けるためにはe-taxでの電子申告をすること、または電子帳簿保存をすることが条件となりました(詳細は確定申告基礎編を参照)。電子帳簿保存は、少しずつ条件が緩和されてきてはいるものの、帳簿類をすべてデータで管理する必要があるなど、まだまだ起業したばかりの個人事業主が対応するにはハードルが高いので、今のところe-taxからの電子申告が65万円の控除を受けるための近道といえそうです。

 

 

② 電子申告すると還付が早期に受けられる

 

還付申告は、書面での提出だと還付金を受け取るまで1〜1.5か月かかりますが、電子申告を行うと3週間ほどに短縮されます。売上が少ない独立起業1年目の場合、ほとんどの方が還付を受けることになりますので、早めに還付金がほしいという方は電子申告がおすすめです。

 

 

③ スマホから青色申告、納税まで可能

 

これまで、電子申告にはパソコンが必須で、スマホからできる手続きは一部に限られていました。しかし、毎年少しずつスマホ申告の対象範囲が増え、WEBページのレイアウトもスマホからの手続きに適したものに変化してきています。2022年分の確定申告からは、スマホから青色申告することもできるようになりました。

 

さらに、クレジットカードや口座振替などに加えて、スマホ上でpaypayやLINEpayなどのキャッシュレスアプリでも納税することができるようになりました。クレジットカードでの納付は手数料がかかりますが、キャッシュレスアプリなら手数料はかかりません。さらに、使用するアプリによってはポイント還元が受けられるなど、お得な使い方を考えられそうです。

 

アプリ納税の手順については、スマホアプリ納付の手続き/国税庁(リンク:https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/smartphone_nofu/index.htm)を参照してください。

 

 

④ マイナンバーカードとの連携も

 

2023年1月現在、e-taxでの電子申告を行うためには、マイナンバーカードを使ってログインする方法と、税務署で発行したID・パスワードを使ってログインする方法の2つがあります。

 

マイナンバーカードを使ってログインする方法を選ぶと、マイナポータルとの連携により、保険料などの各種所得控除の項目を自動入力することができます。2022年分の確定申告からは、医療費の控除証明書も自動入力・取得できるようになりました。

 

これにより、各種証明書を保管する手間・入力する手間を省くことができます。自動入力に対応している証明書については、マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧/国税庁(リンク:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/list.htm)を参照してください。

 

確定申告のためにマイナンバーカードを作るほどではなさそうですが、今後拡充されていくと思われます。すでに持っている方は活用してみてください。

 

 

◆ 副業収入は「雑所得」か「事業所得」か?

 

2022年といえば「副業での所得はほぼすべて雑所得になってしまうかもしれない」ということが話題となっていましたが、ご存知でしょうか。

 

2022年、国税庁が「副業としての収入が300万円以下の場合は、事業所得ではなくすべて雑所得として扱う」という改正案について、パブリックコメントを募集しました。

 

事業所得が雑所得とみなされてしまうと、副業で発生した赤字の所得と本業の給与所得それぞれに課税されることになってしまい、個人としては赤字になっているのに、税金だけ課されてしまうという事態が起こり得ます(詳しくは副業編を参照)。

 

しかし、本業がありながら副業で売上300万円を超えるのは、かなり大変です。「日本政府は副業を推進しているはずなのにおかしい」「多様な働き方を妨害している」と反対意見が多数集まったことから、実際には「記帳や帳簿類がきちんと保存されていればおおむね事業所得として認められる」という内容に落ち着きました。

 

ただし、売上が極端に少なかったり、赤字を放置するなど営利目的としていない場合は雑所得とみなされる可能性もあります。

 

令和4年10月7日「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)(リンク:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/index.htm

 

 

◆ 社会保険の対象が拡大?2022年の社会保険制度の変更点

 

2022年には、社会保険の適用範囲が拡大されました。これまで労働時間が週20時間以上の短時間労働者は、勤め先の規模や勤務期間の条件によって社会保険の適用範囲外でした。ところが今回の法改正で、その条件が緩和され、社会保険の適用される範囲が拡大されました。そして、適用範囲は段階的にさらに拡大していくことが決まっています。

 

2022年の10月からの拡大は従業員101人以上の企業が対象でしたが、2024年10月からは、従業員51人以上の企業も対象となります。

 

社会保険制度について、詳しくは社会保険編を参照してください。

 

フリーランスや個人事業主は原則として国民年金・国民健康保険に加入することになっているため、直接の影響はありませんが、家族にパート・アルバイトとして働いている方がいる場合は影響がありますので、確認しておきましょう。

 

 

◆ フリーランスを保護する法律ができる?今後の動向に注目

 

2022年の9月に「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」に関するパブリックコメントが募集されていました。すでに募集は終了していますが、集まった意見や法整備の方向性は閲覧できます。

 

「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」に関する意見募集の結果について(リンク:https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=060830508&Mode=1

 

近年増加してきているフリーランスは、立場が弱くトラブルに遭いやすいにも関わらず、下請法など現行の法律では保護することができない場合も多いため、安定的に働けるような環境をつくるための法律を整備する、という内容です。2023年1月時点では、まだ法案提出前の段階なので、今後に注目したいところです。

 

 

2.他人事と思わずに情報収集しましょう

 

今回ご紹介したトピックスは、個人事業主・フリーランスに関わるもののうち、ごくごく一部です。制度改正などは知ることで早め早めの対応が可能ですし、給付金や低金利の融資の情報は知らなければ申し込むこともできません。新聞やインターネットでの情報収集のほか、情報交換できる個人事業主やフリーランス同士の交流を持ちましょう。

 

また、政治について関心を持つことも重要です。いくつかのトピックスで出てきた「パブリックコメント」とは、国の行政機関が政令や省令などを定めて政策を進めていこうとする際に、実際に改正する前にその案を公表して、国民から意見・情報を募集することです。

 

案はWEBサイトなどで公表され、意見・情報は提出フォームやメール、郵送などの方法で送ることができます。個別に回答をもらうことはできませんが、集まった意見やそれに対するコメントは結果として閲覧可能です。情報入手や、政策に対して直接意見を送ることができる機会としてチェックしてみてください。

 

e-Govポータル/デジタル庁(リンク:https://www.e-gov.go.jp/

 

独立起業をすると、会社員時代には勤務先に任せていたことを自分で決めなければならなくなる分、これまで以上に政治や社会情勢へアンテナを張って事業を進めることも必要になってきます。他人事と思わず、これまで以上に情報収集を行ってください。

 

ゆめかなうでは、個人事業主やフリーランス向けのセミナーを開催しています。また、ゆめかなうオンライン相談カウンターでも相談も受け付けていますので、疑問や相談のある方は、ぜひご利用ください。

 

▼参考・出典

・日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/index.html

・総務省 https://www.soumu.go.jp/

・国税庁 https://www.nta.go.jp/index.htm

・厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/index.html

 

 

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