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【源泉徴収】独立起業するなら知っておこう!落とし穴にはまる前の予備知識<制度編>個人事業主/フリーランス

2023/02/04

Q:独立起業して、はじめての仕事を納品しました。請求した金額より振り込まれた金額が少ないのですが、騙されたのでしょうか…

 

A:「請求書の金額と振り込まれた金額が一致しない!」と焦るのは、独立起業1年目によくある話です。

 

このような事態は、取引先の企業が報酬から税金を「源泉徴収」したことによって起こります。会社員の場合の源泉徴収は、毎月の給与からされていたと思いますが、フリーランス・個人事業主になると給与というものがないので、仕事の報酬からされるというわけです。

 

今回は源泉徴収の仕組みについて理解していきましょう。

 

※こちらの記事は、2022年12月時点の情報です。最新情報は国税庁のサイト等で確認されることをおすすめします。

 

 

源泉徴収ってなに?その仕組みと基礎知識

 

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う企業が、給与や報酬から一定額の税金を差し引き、納税者に代わって毎月納税する仕組みのことです。

 

所得税編でも説明した通り、所得税は1年間の課税所得金額に対して課税されます。よって、1年間の収入や所得、各種所得控除の金額が確定しなければ、所得税の正確な金額もわかりません。しかし、毎年確定するタイミングでの納税としてしまうと、納税者が一度に大きい額の税金を負担することになり、申告漏れや納税漏れが起きやすくなってしまいます。国にとっても、毎月安定的に税収があった方が都合が良いですよね。

 

そのため、最終的な納税額が確定する前に、給与や報酬の額から概算で算出した所得税を、給与や報酬を支払う企業が先に徴収して毎月国に納めているのです。これが源泉徴収です。年末調整や確定申告には、その前払いしていた税金の過不足を精算する役割もあります。

 

 

◆ 会社員と源泉徴収、年末調整の役割

 

会社員の場合の方がシンプルなので、まず会社員にとっての源泉徴収について説明します。

 

会社員の場合は、勤務先が毎月の給与や賞与から天引きすることによって、源泉徴収しています。税率は国税庁により定められており、年収や家族構成などから算出されます。会社によって異なる場合もありますが、一般的には給与の明細の場合は「所得税」欄を、年末調整後にもらえる源泉徴収票の場合は「源泉徴収税額」欄を見れば、自身が納めた金額を確認できます。

 

会社員の場合は、年末調整で所得税の過不足を精算します。

 

 

◆ フリーランス・個人事業主と源泉徴収

 

フリーランス・個人事業主になるともう少し複雑になります。

 

フリーランスや個人事業主の場合、毎月の給与というものがありませんので、取引先の企業が支払う報酬から源泉徴収を行っています

 

すでにお仕事をされて収入を得ている方はご存知かもしれませんが、請求をクライアント(法人)に出す際に、源泉徴収税分を報酬から差し引いた額面を請求額として提出している方もいると思います。クライアント企業は、源泉徴収として報酬から差し引いた分を税務署に毎月納付しています。

 

 

① 源泉徴収されるものとされないものがある?

 

しかし、すべての報酬から源泉徴収されるわけではありません。フリーランスや個人事業主の場合、源泉徴収されるもの、されないものがあります。まず、源泉徴収される主なものは以下の通りです。

 

・原稿料、講演料、デザイン料など

・弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

・プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

・映画や演劇、テレビなどの出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金

・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

 

 

ちなみに、源泉徴収されないものは、以下の通りです。

 

・WEBサイトのコーディング費(ただし、サイトデザインは源泉徴収の対象)

・行政書士への報酬

・答案の採点料

・出来高制の内職の報酬

・報酬を支払う側が従業員のいない個人事業主である場合

 

 

② いくら源泉徴収される?

 

①で挙げた種類の報酬に当てはまる場合、いくら源泉徴収されるのでしょうか。計算方法は次の通りです。まずは10.21%と覚えておきましょう。

 

支払金額 計算方法 ※1円未満は切り捨て
100万円以下の場合 支払い金額 × 10.21%
100万円を超える場合 (支払い金額 − 100万円) × 20.42% + 102,100円

 

※報酬の金額の中に消費税が含まれている場合は、原則として消費税も額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書などで報酬と消費税の金額が明確に区分されている場合は、その報酬の額のみを源泉徴収の対象とする金額とします。

 

詳しくは、国税庁のホームページを確認してみましょう。源泉徴収については、改正をされることもあるので最新の情報を取得することをおすすめします。

 

 

③ 源泉徴収額の確認方法とよくある落とし穴。二重に税金を納めていませんか!

 

源泉徴収された金額は、取引先から送られてくる「支払調書」というお知らせを確認することで知ることができますが、必ず送られてくるとは限りません。確実な方法は自分が送った請求書の金額と振り込まれた金額の差額を確認しておくことです。

 

ここで注意したいのは、源泉徴収された金額を正確に把握しておかないと、納める必要のある所得税の金額との差額を求めることができないということです。源泉徴収され、前払いして納めているにも関わらず、二重で納めてしまうことになったり、正しく還付が受けられない場合もあります。

 

確定申告をすることで、その年に自分が納めるべき所得税の金額と、源泉徴収によって前払いしていた金額を精算でき、納め過ぎた分が還付されます(還付申告)。少ない場合は追加納付をします。

 

 

④ 「源泉徴収の対象なのに、されていない…」場合はどうする?

 

先ほど、源泉徴収は給与や報酬を支払っている企業の義務であるとお伝えしました。では、源泉徴収されるべき報酬に当てはまっているにも関わらず、源泉徴収されていない場合はどうしたらよいでしょうか?

 

基本的に、確定申告を行い最終的に正しい所得税を納めることができれば、源泉徴収されていなくても問題ありません

 

ただし、企業側には源泉徴収を行う義務があり、怠ればペナルティもあります。例えば、あなたが個人事業主であるとします。源泉徴収税が取引先企業に提出する請求書に入っていない場合は、取引先から請求書が戻されて出し直しになる可能性もありますし、残念な場合は、税金が理解できてない事業主なのだなと思われて、次のお仕事を委託されなくなるようなこともあります。

 

税に無頓着な事業主に対しては、大きな仕事や重要な仕事を取引先が依頼したいと思うでしょうか?信用を積み上げるために、転ばぬ先の杖として、税まわりは知識として学んでおきましょう。

 

 

⑤ 個人事業主・フリーランスでも、源泉徴収しなければならない?

 

事業が大きくなってくると、一人だけでは手が回らず、従業員を雇ったり仕事を外注したりする場合もあるでしょう。その場合、個人事業主やフリーランスであっても、源泉徴収義務者となる場合があります。

 

源泉徴収義務者となるかどうかは、給与を支払っている従業員がいるかどうかによって決まります(新しく従業員を雇う場合には「給与支払事務所等の開設届出書」を提出して届け出る必要があります)。従業員がいない個人事業主やフリーランスは、①で挙げたような内容の仕事を外注した場合でも、源泉徴収する必要はありません。

 

“税理士”という職業があるくらいですので、税金について理解するのはとても大変です。「うわぁややこしいな…」と、ここまで読まれてお感じになられた方は、税理士や詳しい人に直接話を聞きにいってみましょう。もちろん、ゆめかなうオンライン相談カウンターでも税金や確定申告に関する相談は受け付けていますので、ぜひご利用ください。

 

▼参考・出典

・総務省 https://www.soumu.go.jp/

・財務省 https://www.mof.go.jp/index.htm

・国税庁 https://www.nta.go.jp/index.htm

・厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/index.html

 

 

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