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【確定申告基礎編】独立起業するなら知っておこう!落とし穴にはまる前の予備知識<制度編>個人事業主/フリーランス

2023/02/04

Q:独立起業しました。確定申告って何ですか?よくわかりませんが、面倒だし、きちんと申請しないと税金をいっぱい取られる!?とも聞いたのでできればやりたくありません…

 

 

A:確定申告を嫌がる個人事業主・フリーランスの方は多いですが、ちょっと待って!税金をいっぱい取られるばかりか、戻ってくるかもしれません。

 

確定申告とは、簡単に言えば、1月1日〜12月31日の1年間に得た収入と所得を「申告」して、所得に対してかかる税金(=所得税)を「確定」させるための手続きです。会社員の場合、所得税は給与から会社が「源泉徴収」をして納めてくれ、さらに多く払い過ぎた分は「年末調整」をして還付してくれます。しかし、退職して個人事業主やフリーランスになると、自ら確定申告を行い、そこで算出された所得税を自分で納める必要があるのです。

 

難しそうに聞こえますが、税金や記帳についての基礎知識があれば、確定申告そのものは簡単にできてしまいますし、独立起業したばかりであれば、納税が最小限に収められる場合もあります。

 

今回は、確定申告の基礎知識と、確定申告にまつわるお得な情報・失敗しないための方法をお伝えしていきます。

 

※こちらの記事は、2022年12月時点の情報です。最新情報は国税庁のサイト等で確認されることをおすすめします。

 

 

確定申告とは?基礎知識と事前準備

 

繰り返しになりますが、確定申告とは1年間の所得税(および復興特別所得税)を確定させ、正しい納税をするための手続きです。個人事業主やフリーランスなどの会社に所属していない人は、確定申告する必要があります。また、会社に所属していても副業をするなどして給与以外の収入がある人も、勤務先で年末調整を行った上で、確定申告もする必要があります。

 

「納税するための手続き」と説明しましたが、売上の少ない個人事業主・フリーランス1年目の場合は、源泉徴収により税金を納め過ぎていることが多く、ほとんどが還付申告(納めすぎた税金を返してもらうための手続き)となります。確定申告を面倒くさいと思ったり怖がったりする方は多いですが、確定申告(還付申告)しなければ払い過ぎた税金は戻ってきません。また、万が一追加納付が必要であるのにも関わらず、放置して納付期限を過ぎてしまうと延滞税が課されてしまいます。確定申告は毎年必ず行いましょう。

 

 

◆ まずは確定申告のスケジュールを確認しよう

 

確定申告を行うのは1年に1回です。1月1日〜12月31日の1年間で得た所得を、翌年の2月16日から3月15日(土日にあたる場合は翌月曜)までの間に、住民票のある区域の税務署に各種書類を提出することで申告します。算出された所得税の納付期限も、同じく3月15日となります。所得税を払いすぎていた場合の還付申告については、1月1日から行うことができます。こちらの期限は5年間です。

 

法人の場合は任意で決算月を決められますが、この確定申告の仕組み上、個人事業主・フリーランスの決算期は12月ということになります。

 

 

◆ 青色申告と白色申告の違いは?個人事業主やフリーランスで独立起業するなら青色申告がおすすめ

 

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。複雑な方法で記帳する代わりに大きなメリットを得られるのが青色申告、メリットはないが簡単な方法で記帳できるのが白色申告です。

 

問題となるのは、どちらを選択したらよいのかということだと思います。独立起業して、本格的に事業に取り組んでいくのであれば、青色申告がおすすめです。理由は、青色申告することで受けられる節税メリットがとても大きいということと、青色申告のデメリットである複雑な方法での記帳(=複式簿記での記帳)を行うことで、事業の収支について正確に把握することができることの2点です。青色申告から白色申告への切り替えは簡単にできますが、逆はできないので、その点でもまずは青色申告を選択することを考えましょう。

 

 

◆ こんなにある!青色申告のメリット

 

青色申告には、記帳が少し複雑になる分、高い節税効果があります。代表的なものをご紹介していきます。

 

 

① 青色申告特別控除

 

青色申告特別控除は、青色申告の最大のメリットといえます。一定の条件を満たした上で青色申告を行うと、課税所得金額から最大で65万円を差し引くことができます(条件については後ほど説明します)。

 

所得税編でも紹介しましたが、課税所得金額は所得税だけでなく住民税の支払い金額の基準となりますので、とても大きな節税効果があります。具体的には、65万円以上の所得がある方であれば、最低税率(5%)の場合でも、所得税は32,500円、住民税は65,000円、あわせて97,500円の節税になります。

 

 

② 青色事業専従者給与

 

青色事業専従者給与とは、事業に従事してくれた家族や親族(15歳以上)に支払った給与を、必要経費として計上できる制度です。白色申告の場合は、同じように家族に給与を支払う場合でも、配偶者であれば86万円、配偶者以外であれば50万円という上限が設定されています。しかし、青色申告を選択した場合は、仕事の対価として正当な額であれば全額を経費として計上できます

 

配偶者控除や扶養家族控除の金額よりも高い金額の給与を支払うことで、より節税効果が高くなります。家族に事業を手伝ってもらう予定のある人は、青色申告がおすすめです。

 

※この制度を利用するためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。

 

 

③ 純損失の繰越しと繰戻し

 

避けたい事態ではありますが、事業を行っていると赤字になってしまうこともあります。その場合、青色申告をしている方が納める税金は少なくなります。

 

青色申告をすると、赤字分を繰越しや繰戻しをすることができます。翌年以降に赤字分を繰越して未来の課税所得金額を減らしたり、過去に確定申告した課税所得金額に赤字を繰戻して、税金の還付を受けることができるのです。白色申告ではこの処理はできないので、前年の所得に関係なく1年ごとに納税額を計算します。

 

例えば、100万円の赤字となった翌年に100万円の所得があったとしましょう。青色申告の場合は繰越しできるので、相殺されて2年とも課税額は0になります。しかし、白色申告の場合は前年の100万円の赤字に関係なく、翌年の100万円に対して課税されます。

 

特に起業したばかりの時期は売上が安定せず、赤字が出やすいものです。手元の資金に大きく関わりますので、事業に本格的に取り組む方ほど青色申告がおすすめです。

 

 

④ 少額減価償却資産

 

経費の面でも青色申告は優遇されています。

 

通常、10万円以上のものを事業のために購入した場合、一括でその年の経費とはできず、耐用年数に応じた期間で少しずつ経費に計上する「減価償却」という処理を行います。しかし特例により、青色申告を行うと、30万円まで(合計年間300万円以内)の固定資産に限っては、購入した年の経費として計上できます

 

パソコンやプリンター、机など10万円以上するものを事業用に購入する場合は多いと思います。購入した年に一括で経費にできるので、節税効果が大きいといえます。

 

 

◆ 青色申告のメリットを最大限受けるために!青色申告の準備をしよう

 

白色申告と比較するとたいへんメリットの多い青色申告ですが、確定申告の前に手続きや準備が必要です。

 

 

① 「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する

 

「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届を記入し、自宅が事務所となる場合はその地区の管轄の税務署に提出します。届出用紙は国税庁のホームページでダウンロード可能で、WEB上での提出もできます。提出期限は、開業日から1ヶ月以内とされています。

 

 

② 「所得税の青色申告承認申請書」を提出する

 

①と同じく、管轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。こちらは開業から2ヶ月以内に提出しないと、その年分の確定申告を青色申告で行うことができなくなってしまいます。こちらもWEB上で提出できます。

 

 

③ e-taxでの電子申告、または電子帳簿保存を行う

 

青色申告特別控除を最大の65万円を利用するためには、e-taxによる電子申告、または電子帳簿保存を行った上での確定申告をする必要があります

 

まず、e-taxとは「国税電子申告・納税システム」のことです。税務署に行かなくても確定申告や納税ができるサイトで、パソコン、タブレット、スマートフォンからアクセス可能です。e-taxの利用にはマイナンバーカード、またはマイページ利用のためのID・パスワードの発行が必要です。どちらも自治体の窓口や税務署に直接行って手続きする必要がありますので、直前になって焦らないように早めに済ませておきましょう。

 

電子帳簿保存を行うには、すべての帳簿をデータで作成する必要があるため、対応した会計ソフトを導入することが必須です。また、電子帳簿保存は原則として年の途中から適用することはできません。

 

電子帳簿保存を行うには、複数の要件を満たした会計ソフトを使う必要がありますので、どちらかと言えばe-taxによる電子申告の方が手軽かと思います。e-taxによる電子申告、電子帳簿保存のどちらにも対応しない場合、青色申告特別控除額は55万円になります。

 

 

④ 複式簿記で記帳する

 

複式簿記での記帳は理解するまで少し難しいですが、事業の収支状況を把握するには最適な方法です。ただ、すべてを手書きで記帳しようとするとかなり時間と手間がかかってしまうので、税務署や税理士の手を借りながら、会計ソフトを利用するなどして記帳するのがおすすめです。

 

複式簿記での記帳をしない場合、青色申告特別控除額は10万円となります。

 

 

◆ 【副業している方】確定申告についての注意点

 

最近では、独立起業の準備段階として、会社員として給与をもらいつつ、副業として事業にチャレンジしている方も多くなってきました。そのような方にとって、大きな疑問は以下の2つだと思います。

 

 

① そもそも確定申告は必要?

 

確定申告が必要かどうかの基準は、給与所得以外の所得が20万円あるかどうかです。20万円以上であれば確定申告が必要で、20万円以下であれば確定申告は必要ありません。

 

“所得が20万円以下”というのは、売上ではなく必要経費などをすべて差し引いたあとの金額が20万円ということです。例えば100万円の売上があっても経費が90万円かかっている場合は、所得は10万円なので確定申告は不要ということになります。

 

ただし、確定申告の必要がないとはいえ、住民税の確定のための申告は必要です。別途市区町村の窓口で手続きを忘れずに行ってください。

 

 

② 確定申告をしたら、本業の会社にばれる?防ぐ方法は?

 

副業や兼業を禁止している会社に勤めている場合、副収入があることを知られたくない場合もあるでしょう。副収入があることが会社に知られてしまうきっかけは、ほとんどの場合住民税です。

 

毎年6月になると、前年分の課税所得金額から住民税が計算され、納税額が勤務先宛てに通知されます。その金額が会社が給与所得から算出した金額よりも高いと、副収入があることがわかってしまいます。

 

確定申告書第二表に「給与・公的年金等に係る所得以外(4月1日において65歳未満の方は給与所得以外)の所得に係る住民税の徴収方法」を選択する欄があるので、ここで「自分で納付」を選び、確定申告の際に給与所得以外にかかる住民税を個人で納付する手続きを実施したら、会社に通達はされない状況になります。

 

ただし、副業や兼業禁止の状況下で、副業や兼業を推奨しているわけではありません。ご自身の判断と然るべき場所への確認のもと、ご実施されてください。

 

税金に詳しい知人や税理士に直接話を聞きにいくことはもちろん、ゆめかなうオンライン相談カウンターでも税金に関する相談は受け付けていますので、疑問や相談のある方は、ぜひご利用ください。

 

▼参考・出典

・総務省 https://www.soumu.go.jp/

・財務省 https://www.mof.go.jp/index.htm

・国税庁 https://www.nta.go.jp/index.htm

・厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/index.html

 

 

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